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2021.10.23 Archivesin shop BLOG新入荷商品買取強化商品

Isabella Stefanelli 20AW Virginia

 

こんにちは。charlieです。

先日に引き続きスペシャルな入荷がございましたのでご紹介です。


 

Isabella Stefanelli
2020 A/W
Virginia

ご存知の方もそう多くはないであろうブランド Isabella Stefanelli(イザベラステファネリ)。
今回はブランドのシグネチャー的ポジションにあり毎シーズンマイナーチェンジを繰り返しながら展開されているモデル Virginiaが入荷致しました。
ECでの販売が全盛である昨今でありながら、ブランドの意向によりECでの価格・採寸の公開を禁止しています。
今回はこのVirginiaについてご紹介致します。


 

Model.

Isabella Stefanelliのデザインにはすべてにモデル名が存在します。今回ご紹介する一着はVirginia Jet(ヴァージニア ジェット)。
このモデル名は歴史上の偉人等からネーミングされており、このVirginiaはイギリスの小説家 Virginia Woolf(ヴァージニアウルフ)から取られたモデルです。
付属のタグを通じてVirginia Woolfについて何を感じ製作したかが綴られています。

 

Theme.

Isabella Stefanelliのコレクションにはシーズンそれぞれにテーマが用意されており、9回目となる20AWのテーマは「Sunset at 16:15」。この「16:15」は、とある冬の日の英国の日の入りの時刻です。
彼女がアトリエで織機を使い自ら生地を織っていく中で、ふと見上げた窓から見えた夕陽の美しさに感動すると共に、世界中で皆それぞれの夕陽があることに想いを馳せることで穏やかな気持ちになれたこと。
それを手機生地で表現したものが20AWのコレクション達です。

 

20AWでは上記のテーマでしたが、こちらのモデルに限らずIsabella Stefanelliで使用される生地は世界中の限られた機屋が織り上げた特別なものを使用しています。
一般的に生地生産はサンプルで数メーター織ってからそれを元に機械で大量生産をします。
しかし、Isabella Stefanelliで使用される生地は少数ロットの生産の為だけに、全て手機織機により熟練の職人が手仕事で織り上げたものです。

 

Fabric.


このVirginiaに使用された生地はStariseと銘打たれ、朝陽(サンライズ)・夕陽(サンセット)・夕闇(トワイライト)の色彩を英国の伝統的なグレンチェック柄で表現しています。
価格だけですべては計れませんが、このStariseは現存するIsabella Stefanelliの中でも恐らく最も高価な生地です。
Isabella Stefanelliで使用されるすべての生地がこの柄や色といった部分を含め彼女自身でデザインしており、今回ご紹介のStariseは英国で手機織機による織物を作り続けるBristol Weaving Mill社と共に作り上げたオリジナルの生地です。
ウールとコットンにより織り上げられたフィレンツェの代表的な織柄である菱形を表現した手旗生地。
経糸にブリティッシュウール・コットン、緯糸にドネガル地方の原毛から撚ったアイリッシュウールを使用しています。
ドネガル地方と言えばドネガルツイードなんかも非常に有名な、繊維産業が盛んな地域ですね。
自ら生地の開発を行い既製品を使用しない為、Isabella Stefanelliの製品以外にこれらの生地が使用された洋服は存在しません。
モデル名だけでなく生地にまで命名し、布帛に対して並々ならぬ拘りを持っていることが窺えます。

 

Selvedge.

洋服は地の目の方向に対し生地を平行(要するに縦向き)に使用することが一般的ですが、Isabella Stefanelliの多くは生地を「横向き」に使用しています。
単に奇をてらったことをしているのではなく、生地を横使いする理由がきちんと存在します。

勘の良い方はお気付きでしょう。縫い目がありません。
多くの洋服の裾は処理が必要である為デザインとして意図しない限り縫製されますが、裾や袖口に当たる部分に生地の「耳(セルヴィッジ)」を使用することにより無縫製のままで仕上げています。
希少な手旗生地を使用することもあり極力生地の無駄が出ないよう要尺を計算し設計されています。
このエッジに耳を使用するという手法は彼女が過去にヘッドテーラーとして在籍していたCarol Christian PoellのSELFEDGEからの着想でしょうね。

さらに生地を横使いするということは柄物の織り方も一般的なものとは変わってきます。
生地は縦・横・斜めで伸縮性が異なります。
生地を横使いすることでこのVirginiaは横方向によく伸びるように作られています。
Isabella Stefanelliのようにオリジナリティのあるパターンにより構築された服は、ジャストサイズの服と比較し身体の構造にぴったり沿ったパターンではない(例えば大きく取られた肩幅など)ので、生地が縦に伸びやすいか横に伸びやすいかで着心地は全く変わってくるでしょう。

 

Process.

Isabella Stefanelliは生地の開発からパターン開発、縫製といったほぼすべての工程を自ら行い、工場を介しての量産をしていません。つまりできる限り効率化を図らないとブランドとして継続することが難しくなってきます。

前述したとおり、Isabella Stefanelliのすべてのモデルには「型」が存在し、毎シーズン展開されるモデルはその原型を基に製作されます。
コレクションブランドは毎シーズン流行やテーマに沿った服を企画するのでその都度新しい「型」を生み出さなければなりません。
しかしIsabella Stefanelliの場合、新しいモデルを企画するとき以外は基本的に初めに出来上がった型をなぞって製作するだけで済むのです。
これも彼女が過去に手掛けたBoris Bidjan Saberiと同様のシステム。過去に培った経験を自身のブランドで遺憾なく発揮しています。
様々なブランドが象徴的なモデルをブランドの「顔」として定番リリースしますが、Isabella Stefanelliにはその「顔」である服しかないのです。

 

Details.

基本的にIsabella Stefanelliの洋服には裏地が付きません。
例としてBrioniなどのテーラーは、裏地を取り替えることで後世へと受け継いでいくことや技術を盗まれることを防ぐ目的などで裏地を付けますが、イザベラの洋服にはそれがありません。
つまり内側が丸見えなので綺麗に縫わないといけなくなってきます。
厚みのある生地は縫い代もフラットに仕上げなければ着心地を大きく損ないます。Isabella Stefanelliの仕立てではフラットウェルトシームと呼ばれており、文字通り段差が少なくフラットに処理されています。
このフラットウェルトシームについては後述します。

 

縫製処理をしなくてもよいセルヴィッジは四辺ある布地の両端にしか存在せず限られているので、縫製処理をしないといけない箇所が他に出てきます。
このVirginiaでは襟ぐり・前立て(+生地を裁断している肩と袖まわり・身頃にあしらわれたポケット)の位置がそれにあたります。
縫製処理をしないといけない箇所は生地との親和性が高い太番手のウール糸を使用し、ハンドソーイングによるまつり縫いで目立たないよう縫い留められています。

 

ポケットは従来のVirginiaのような表側へのパッチポケットではなく、生地に切り込みを入れ裏側へと配置しよりミニマルな外観に。

 

このポケットの切り込み箇所も同様に手縫いにより解れを防止しています。

 

袖口や裾は縫い目が無い為平面的なのに対し、襟ぐりは立体的に仕上げる為イザベラ自身の感覚で生地を内側へと斜めにロールしながらハンドソーイングで仕上げています。

 

ボタンホールは生地に切り込みを入れず、織り目を拡げてかがることで生地への負担を最大限に少なくしています。
通常ボタンホールを作る際は生地に切り込みを入れますが、彼女の場合は細部ひとつを取っても配慮がされています。神は細部に宿るというやつでしょうか。もちろんここも手縫いです。
余談ですが、僕が敬愛する山本耀司氏(Yohji Yamamoto)も「ボタンホールには成仏する位置がある。」と語るくらいなので、軽視されがちな部分かもしれませんが服の収まりにも関わってくる非常に重要な箇所なのです。

 

Sewing.

上記でご紹介した箇所はすべて手縫いですが、では一方で肩・腕まわりはというとマシンソーイングとハンドソーイングを使い分けて縫製されています。

 

ミシン縫い

手縫い

折り伏せ縫いと呼ばれる縫い方でミシン縫いによりアームをシングルステッチで縫い付けた後、余った縫い代をハンドによるまつり縫いで留めています。
前述したフラットウェルトシームはこの部分にあたります。写真でもわかりますが段差がなくフラットに仕上げられていますね。

 

ミシン縫い

手縫い

肩線の位置も同様に、ミシン縫いと手縫いを使い分け。

ミシン縫いと手縫いに使用する糸はそれぞれ異なるものを使用し、手縫いの箇所は柔らかなウール糸、ミシン縫いの箇所にはウール糸とは全く異なる硬さのMara社製70番糸を使用しています。

 

Thread.


アルチザンブランドに対する先入観で天然繊維しか使用しないように思いがちですが、このMara社製の糸はポリエステル糸(化学繊維)です。
ここでポリエステル糸を用いるのにも理由があります。
ミシン縫いと手縫いを使い分ける理由、それはミシン縫いに使用するMara社の糸が非常に強度を持っているからです。
この糸は本来登山用のアイテムなどに使われるもので、鋭利な刃物を用いないと絶対に切ることが出来ないほど強靭と言われています。
Virginiaはミシンで縫製が施されている箇所が肩線・腕周りのみですが、縫い目があるということはそこから解けやすいということにもなります。
この「切れない糸」は生地に使用される繊維よりもはるかに強度を持っているので、むやみに使用するだけではかえって生地が破けやすくなってしまいます。
縫製もただ強靭であればいいわけではないので、糸調子をコントロールしながら解けにくくする箇所とそれを緩和する為の手段を使い分けています。

 

Specification.

前述した仕様は、Isabella Stefanelliのすべての製品に付属するタグに詳細が記載されています。いわゆる仕様書です。
シーズン・モデル名・生地・カラー・素材・縫製仕様・糸・サイズ・仕上げといったほぼすべての情報を惜しみなくこのタグを通じ公開しています。
他のアルチザン系ブランドにもこのような仕様書が付属する製品は多く存在しますが、どのブランドも製品に対して真摯に向き合っているからこそ公開できることです。
このタグにも特別な想いがあり、インタビューにてこのタグ自体も彼女からのギフトと語っています。

 

Product.


非常に考え抜かれた上で、試行錯誤の末に出来上がった服なんだろうと思います。既製服でこれだけ凝った服をつくっておきながら、生産効率の良いシステムはそう存在しません。土台をしっかり作り上げているからこそ開発や縫製に没頭できるのでしょう。
実際に思い付いたとしても、このシステムを落とし込むには初めの段階でプロダクトを相当練らないといけません。

 

Tailoring.


前述したCarol Christian PoellやBoris Bidjan Saberi、さらにはRick Owensといった錚々たるモードブランド・アルチザンブランドで経験を積んだ彼女の技術はきっと一朝一夕で盗めるようなものではありませんね。
CCPに在籍した時代はキャロル自身からヘッドハンティングされたそうです。
布帛や繊維のみならず、テーラリングをベースとした技術の結晶の末に完成されていることがわかります。

 

Pattern.

洋服は身体が着用する為に作られるので、立体になることを想定して設計されます。
Isabella Stefanelliの洋服も緻密に練られたパターンを基に構築されていますが、このVirginiaは立体的に仕立てている襟ぐり以外はまるでただの布地のような服です。

 

人が着るとこのようなシルエットに。

 

後ろや斜めから見るとわかりやすいですが、肩が大きく落ちるようなドロップショルダーシルエットなのがお分かりいただけるでしょうか。
Isabella Stefanelliの洋服の多くが肩まわりや身幅などの生地分量がたっぷりと取られゆったりとしたシルエットですが、身体の構造に沿って包み込むような着心地ではありません。
袖山の位置をあえて肩からずらしているのも、仕立てをしてきた人間にしかわからない理由があるのでしょう。
実際に着用してみると、ただゆったりと作っているだけのものではないことがわかります。
これに関しては言葉では表現しきれないので実際に着ていただくほかありません。

 


 

Clothes.

いずれも普通に服を着ることに大きく影響することではありませんが、こういった建築的な造形をすることは数多のモードブランド・アルチザンブランドで経験を積んだ彼女らしいアプローチであり、服作りへの挑戦でもあると感じます。
そしていろんな要素を解釈すればするほど、多くのアルチザン系ブランドがCarol Christian Poellの哲学へと帰結していくのがまた非常に面白いです。
生み出されるものは全く異なりますが彼女もまた同様で、過去に経験を積んできたブランドのDNAが確実に受け継がれていると感じますね。
既製服でこれだけ突き詰めたものを生み出していながら、本当に凝っているがゆえに万人には理解されにくいでしょう。
「ファッション好き」よりも「服好き」に愛される服ですね。
実際にその凄まじさとは裏腹に、海外も含めまだまだ話題になっていないように感じます。

近年、ビジネスばかりのショップやブランドが増えてきましたね。簡単な服ばかりが売れている現状にも思うところがあります。
私どもはあくまでも二次流通ですが、こういった服に五感を凝らして向き合わないとなと感じます。
我々のお店でなくとも、こういった意匠を凝らした服と真摯に向き合い取扱うショップは少なからず存在していると思います。
そんなお店にこういう服が渡ることを願うばかりです。
と同時に、そんなお店やブランドこそが継続していける世の中であってほしいなと思います。

 

こちらのアイテムはブランドの意向を尊重しECでの販売を行っていません。
実店舗までお越しください。
こちらはこの記事を執筆中に店頭へお越しいただいた顧客様よりご購入いただきました。
よって販売は致しかねますが、顧客様からのご厚意によりしばらくの間店頭でご覧いただけます。
国内での取り扱いも非常に少ないブランドとなっておりますので、上記のディテールを実際に見てみたいお客様がいらっしゃればお見せすることは可能です。
実店舗までお越しください。

 

 


Isabella Stefanelli
Website http://www.isabellastefanelli.com/
Instagram @isabella73

 

弊社ではご遠方の方向けに宅配買取というお買取りサービスを行っております。
より専門的な知識が必要なモード系ブランド、アルチザン系ブランドに力を入れてお買取りを行っておりますので、他社様より高額査定が期待できます。
ページ下部にリンクを記載しておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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執筆者 : Charlie


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